類体論レポート 3
演習問題と詳解

類体論を理解するための計算問題集です。二次体・円分体・類群・Hilbert 類体・局所体・Artin 写像・Chebotarev まで、 問題と完全な解答をセットにしました。

目次

使い方

まず解答を閉じたまま問題を解き、次に解答を開いて計算の各行を照合してください。 特に、分解型を答えるだけでなく、必ず \(e,f,g\)、Frobenius の位数、類群または ray class group との対応まで確認します。

類体論の演習では「同じ計算を別の言語で言い換える」ことが重要です。 例:\(p\equiv1\pmod4\) ⇔ \(p\) は \(\mathbb Q(i)\) で完全分解 ⇔ Frobenius が恒等元。

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問題一覧

01

問題 1 基礎

\(K=\mathbb Q(\sqrt{-5})\) の整数環と判別式を求めよ。
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\(-5\equiv3\pmod4\) なので、平方因子を持たない \(d=-5\) に対して \[ \mathcal O_K=\mathbb Z[\sqrt{-5}]. \] 二次体の判別式は、\(d\equiv1\pmod4\) なら \(d\)、それ以外なら \(4d\) です。したがって \[ D_K=4(-5)=-20. \] 従って分岐し得る有理素数は \(2\) と \(5\) です。
02

問題 2 基礎

\(\mathbb Q(\sqrt{-5})\) でノルム \(2\), \(3\) の元が存在しないことを示せ。
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\(\alpha=\sqrt{-5}\) とすると任意の整数元は \(a+b\alpha\) であり、 \[ N(a+b\alpha)=a^2+5b^2. \] ノルム \(2\) の元があれば \[ a^2+5b^2=2 \] の整数解が必要です。\(b\ne0\) なら左辺は \(5\) 以上なので不可能。\(b=0\) なら \(a^2=2\) で不可能です。 ノルム \(3\) も同様に \[ a^2+5b^2=3 \] で、\(b\ne0\) は不可能、\(b=0\) でも \(a^2=3\) は不可能です。
03

問題 3 二次体

\(\mathbb Z[i]\) で \(5\) を素イデアル分解せよ。
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\(x^2+1\) を \(\mathbb F_5\) 上で分解します。 \[ 2^2=4\equiv -1\pmod5 \] なので \[ x^2+1\equiv (x-2)(x+2)\pmod5. \] 従って \[ 5\mathbb Z[i]=(5,i-2)(5,i+2). \] どちらの素イデアルもノルム \(5\) で、分解型は \(e=1,f=1,g=2\) です。
04

問題 4 二次体

\(\mathbb Z[i]\) で \(3\) が惰性であることを示せ。
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\(\mathbb F_3\) で \[ x^2+1 \] を調べます。\(x=0,1,2\) を代入すると、それぞれ \(1,2,2\) で根を持ちません。 二次式なので根を持たないことは既約であることと同値です。 したがって \[ 3\mathbb Z[i] \] は素イデアルのままで、剰余次数は \(2\) です。 円分体表示では \[ \operatorname{Frob}_3(i)=i^3=-i \] で位数 \(2\) です。
05

問題 5 二次体

\(\mathbb Z[i]\) で \(2\) の分岐指数を求めよ。
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\[ 2=(1+i)(1-i)=-i(1+i)^2. \] したがってイデアルとして \[ (2)=(1+i)^2. \] 唯一の素イデアル \(\mathfrak p=(1+i)\) が \(2\) の上にあり、 \[ 2\mathcal O_K=\mathfrak p^2. \] よって \(e=2,f=1,g=1\) です。
06

問題 6 二次体

\(\mathbb Q(\sqrt2)\) で \(17\) を素イデアル分解せよ。
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\(\mathcal O_K=\mathbb Z[\sqrt2]\) で、最小多項式は \(x^2-2\) です。 \[ 6^2=36\equiv2\pmod{17}. \] よって \[ x^2-2\equiv (x-6)(x+6)\pmod{17}. \] 従って \[ 17\mathcal O_K=(17,\sqrt2-6)(17,\sqrt2+6). \] 二つの素イデアルはどちらもノルム \(17\) です。
07

問題 7 二次体

\(\mathbb Q(\sqrt2)\) で \(3\) が惰性であることを示せ。
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\(\mathbb F_3\) の平方は \(0,1\) のみです。したがって \(2\) は平方ではありません。 よって \[ x^2-2 \] は \(\mathbb F_3\) 上既約です。従って \[ 3\mathcal O_{\mathbb Q(\sqrt2)} \] は素イデアルで、剰余次数は \(2\) です。 合同条件でも \(3\equiv3\pmod8\) なので惰性です。
08

問題 8 二次体 標準

\(\mathbb Q(\sqrt5)\) で \(11\) を素イデアル分解せよ。
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\[ \omega=\frac{1+\sqrt5}{2},\qquad \omega^2-\omega-1=0. \] \(\mathbb F_{11}\) で \(5\) の平方根は \(4\) です。 二次方程式 \[ x^2-x-1=0 \] の根は \[ x=\frac{1\pm\sqrt5}{2}. \] \(2^{-1}\equiv6\pmod{11}\) なので \[ \frac{1+4}{2}\equiv 5\cdot6\equiv8,\qquad \frac{1-4}{2}\equiv (-3)\cdot6\equiv4. \] したがって \[ 11\mathcal O_K=(11,\omega-8)(11,\omega-4). \]
09

問題 9 二次体 標準

\(\mathbb Q(\sqrt5)\) で \(2\) は分解・惰性・分岐のどれか。
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\(D_K=5\) なので \(2\) は分岐しません。二次体で \(2\nmid D\) のとき、 \[ \left(\frac{D}{2}\right)= \begin{cases} 1 & D\equiv \pm1\pmod8,\\ -1 & D\equiv \pm3\pmod8. \end{cases} \] ここで \(D=5\equiv5\equiv-3\pmod8\) なので記号は \(-1\)。 従って \(2\) は惰性です。 多項式でも \[ x^2-x-1\equiv x^2+x+1\pmod2 \] は \(\mathbb F_2\) 上既約です。
10

問題 10 二次体 標準

\(\mathbb Q(\sqrt{13})\) の整数環・判別式・分岐素数を求めよ。
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\(13\equiv1\pmod4\) なので \[ \mathcal O_K=\mathbb Z\left[\frac{1+\sqrt{13}}{2}\right]. \] 基本判別式は \[ D_K=13. \] したがって分岐する有理素数は \(13\) だけです。 生成元 \(\omega=(1+\sqrt{13})/2\) の最小多項式は \[ x^2-x-3. \]
11

問題 11 分解 標準

Dedekind の定理を用いて、\(\mathbb Q(\sqrt{13})\) で \(3\) を分解せよ。
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\(\omega=(1+\sqrt{13})/2\) とすると \[ \omega^2-\omega-3=0. \] \(\mathbb F_3\) 上で \[ x^2-x-3\equiv x^2-x=x(x-1). \] 従って \[ 3\mathcal O_K=(3,\omega)(3,\omega-1). \] どちらも一次因子から来るのでノルムは \(3\) です。
12

問題 12 類群 標準

\(\mathbb Q(\sqrt{-5})\) で \((2)=(2,1+\sqrt{-5})^2\) を確認せよ。
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\(\alpha=\sqrt{-5}\), \(\mathfrak p=(2,1+\alpha)\) とします。 mod \(2\) で \[ x^2+5\equiv x^2+1=(x+1)^2 \] なので、Dedekind の定理から \[ (2)=\mathfrak p^2,\qquad \mathfrak p=(2,\alpha+1). \] また \(\mathcal O_K/\mathfrak p\cong\mathbb F_2\) なので \(N\mathfrak p=2\)。 従ってノルムも \[ N((2))=4=N(\mathfrak p)^2 \] で一致します。
13

問題 13 類群 標準

\(\mathbb Q(\sqrt{-5})\) の類群が \(C_2\) であることを Minkowski 境界から示せ。
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虚二次体の Minkowski 境界は \[ \frac{2}{\pi}\sqrt{|D_K|}. \] ここでは \(D_K=-20\) なので \[ \frac{2}{\pi}\sqrt{20}<3. \] 従って各イデアル類はノルム \(1\) または \(2\) の整イデアルを代表に持ちます。 ノルム \(1\) は \(\mathcal O_K\) のみで主類です。 ノルム \(2\) の素イデアルは \[ \mathfrak p_2=(2,1+\sqrt{-5}) \] です。これはノルム \(2\) の元が存在しないため非主です。 一方 \[ (2)=\mathfrak p_2^2 \] なので \([\mathfrak p_2]^2=1\)。 よって \[ \operatorname{Cl}_K=\{1,[\mathfrak p_2]\}\cong C_2. \]
14

問題 14 類群 標準

\(6=2\cdot3=(1+\sqrt{-5})(1-\sqrt{-5})\) が一意分解の失敗を示す理由を説明せよ。
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\(\alpha=\sqrt{-5}\) とします。 \[ (1+\alpha)(1-\alpha)=1-\alpha^2=1+5=6. \] ノルムは \[ N(2)=4,\quad N(3)=9,\quad N(1\pm\alpha)=6. \] \(2\) が可約ならノルム \(2\) の非単元因子が必要ですが、\(a^2+5b^2=2\) に解はありません。 \(3\) も同様にノルム \(3\) の元が存在しません。 \(1\pm\alpha\) が可約ならノルム \(2\) または \(3\) の因子が必要ですが、どちらも存在しません。 従って四つは既約です。 さらにノルムや単元 \(\{\pm1\}\) を見れば、これらは互いに同伴ではありません。 よって一意分解は失敗します。
15

問題 15 Hilbert類体 標準

\(\mathbb Q(\sqrt{-5})\) の Hilbert 類体が \(\mathbb Q(i,\sqrt5)\) であることを判別式から確認せよ。
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\(H=\mathbb Q(i,\sqrt5)\) とします。 この双二次体の二次部分体は \[ \mathbb Q(i),\quad \mathbb Q(\sqrt5),\quad \mathbb Q(\sqrt{-5}) \] です。それぞれの判別式は \[ -4,\quad 5,\quad -20. \] 双二次体の判別式公式より \[ D_H=(-4)\cdot5\cdot(-20)=400. \] 一方 \(K=\mathbb Q(\sqrt{-5})\) の判別式は \(-20\) なので \[ D_K^2=400. \] 相対判別式のノルムは \(|D_H|/|D_K|^2=1\)。 従って \(H/K\) は不分岐です。 また \([H:K]=2\) で、類数も \(2\) だから、\(H\) は Hilbert 類体です。
16

問題 16 Hilbert類体 標準

\(\mathfrak p=(3,\sqrt{-5}-1)\) の Hilbert 類体での Frobenius を判定せよ。
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\(\mathfrak p\) はノルム \(3\) の素イデアルです。 ノルム \(3\) の元は存在しないので、\(\mathfrak p\) は非主イデアルです。 \(\operatorname{Cl}_K\cong C_2\) で非主類は唯一の非自明類です。 Hilbert 類体 \(H_K/K\) の Artin 同型 \[ \operatorname{Cl}_K\cong \operatorname{Gal}(H_K/K) \] により、\([\mathfrak p]\) は非自明な Galois 元に対応します。 したがって \[ \left(\frac{H_K/K}{\mathfrak p}\right) \] は非自明元です。拡大次数は \(2\) なので、\(\mathfrak p\) は \(H_K\) で惰性です。
17

問題 17 円分体

\(\mathbb Q(\zeta_5)\) で \(2,11,19\) の分解型を求めよ。
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\(\varphi(5)=4\) で、\(p\ne5\) に対し \[ f=\operatorname{ord}_5(p),\qquad g=4/f. \] \(2\) は mod \(5\) で位数 \(4\) なので、\(f=4,g=1\):惰性。 \(11\equiv1\pmod5\) なので、\(f=1,g=4\):完全分解。 \(19\equiv4\pmod5\) で \(4^2\equiv1\) なので、\(f=2,g=2\):二つの次数 \(2\) の素イデアルに分解します。
18

問題 18 円分体

\(\mathbb Q(\zeta_8)\) で \(p=3,5,7,17\) の分解型を求めよ。
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\[ (\mathbb Z/8\mathbb Z)^\times=\{1,3,5,7\} \] で、非自明元はすべて位数 \(2\) です。 \[ f=\operatorname{ord}_8(p),\qquad g=4/f. \] \(3,5,7\) はそれぞれ mod \(8\) で非自明元なので \(f=2,g=2\)。 \(17\equiv1\pmod8\) なので \(f=1,g=4\) で完全分解です。
19

問題 19 円分体 標準

\(\mathbb Q(\zeta_7)\) で \(p=2,3,13,29\) の分解型を求めよ。
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\(\varphi(7)=6\) です。 \[ f=\operatorname{ord}_7(p),\qquad g=6/f. \] 各素数について: \[ 2^1=2,\quad 2^2=4,\quad 2^3=8\equiv1\pmod7 \] なので \(f=3,g=2\)。 \(3\) は mod \(7\) で位数 \(6\) なので \(f=6,g=1\):惰性。 \(13\equiv6\equiv-1\pmod7\) なので位数 \(2\)、従って \(f=2,g=3\)。 \(29\equiv1\pmod7\) なので \(f=1,g=6\):完全分解。
20

問題 20 円分体 標準

\(\mathbb Q(\zeta_7)^+\) で \(2\) と \(13\) の分解型を求めよ。
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実三次部分体の Galois 群は \[ (\mathbb Z/7\mathbb Z)^\times/\{\pm1\}\cong C_3. \] \(p\bmod7\) が \(\pm1\) なら商で恒等元になり、完全分解します。 それ以外なら位数 \(3\) で惰性です。 \(2\not\equiv\pm1\pmod7\) なので \(2\) は惰性、剰余次数 \(3\)。 \(13\equiv-1\pmod7\) なので \(13\) は完全分解します。 実際、最小多項式 \[ x^3+x^2-2x-1 \] は mod \(13\) で \[ (x+3)(x+5)(x+6) \] に分解します。
21

問題 21 ray

\(\mathbb Q\) の法 \(5\) の ray class field と Artin 写像を説明せよ。
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\(\mathbb Q\) の法 \(5\) の ray class field は \[ \mathbb Q(\zeta_5) \] です。 Galois 群は \[ \operatorname{Gal}(\mathbb Q(\zeta_5)/\mathbb Q) \cong(\mathbb Z/5\mathbb Z)^\times. \] 素数 \(p\ne5\) の Artin 記号は \[ \zeta_5\mapsto\zeta_5^p \] で与えられます。したがって Artin 写像は、初等的には \[ p\mapsto p\bmod5 \] です。
22

問題 22 ray 標準

\(\mathbb Q\) の法 \(8\) の ray class field で、奇素数 \(p\) の Artin 記号を求める規則を書け。
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法 \(8\) の ray class field は \[ \mathbb Q(\zeta_8). \] Galois 群は \[ (\mathbb Z/8\mathbb Z)^\times=\{1,3,5,7\}. \] 奇素数 \(p\) に対して \[ \operatorname{Frob}_p(\zeta_8)=\zeta_8^p. \] したがって Artin 記号は \(p\bmod8\) そのものです。 \(p\equiv1\pmod8\) なら完全分解し、\(p\equiv3,5,7\pmod8\) なら Frobenius は位数 \(2\) で、分解型は \(g=2,f=2\) です。
23

問題 23 Chebotarev

\(\mathbb Q(\zeta_5)\) で完全分解する素数の密度を求めよ。
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完全分解は Frobenius が恒等元であることと同値です。 \[ \operatorname{Gal}(\mathbb Q(\zeta_5)/\mathbb Q) \] の位数は \(4\) です。Chebotarev により、恒等元に対応する素数の密度は \[ \frac{1}{4}. \] 具体的には \[ p\equiv1\pmod5 \] の素数です。
24

問題 24 Chebotarev 標準

\(\mathbb Q(\zeta_5)\) で惰性になる素数の密度を求めよ。
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\(\mathbb Q(\zeta_5)\) で惰性とは、剰余次数 \(f=4\) ということです。 これは \(p\bmod5\) の位数が \(4\) であることと同値です。 \((\mathbb Z/5\mathbb Z)^\times\cong C_4\) で位数 \(4\) の元は \(2,3\) の二つです。 各元は密度 \(1/4\) で現れるので、惰性素数の密度は \[ \frac{2}{4}=\frac12. \] 具体的には \(p\equiv2,3\pmod5\) です。
25

問題 25 局所体

Hensel の補題で \(\sqrt2\in\mathbb Q_7\) を \(7^2\) まで求めよ。
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\(\mathbb F_7\) で \(3^2=9\equiv2\) です。 \(f(x)=x^2-2\), \(f'(x)=2x\) とすると \[ f'(3)=6\not\equiv0\pmod7. \] Hensel の補題で根は一意に持ち上がります。 \(x=3+7t\) と置くと \[ x^2=9+42t\pmod{49}. \] \(x^2\equiv2\pmod{49}\) には \[ 9+42t\equiv2\pmod{49} \Longleftrightarrow 42t\equiv42\pmod{49}. \] \(7\) で割って \[ 6t\equiv6\pmod7 \] なので \(t\equiv1\pmod7\)。 従って \[ \sqrt2\equiv10\pmod{49}. \]
26

問題 26 局所体 標準

Hensel の補題で \(x^3=2\) の \(\mathbb Q_5\) における解を \(5^3\) まで求めよ。
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\(\mathbb F_5\) で \(3^3=27\equiv2\) です。 \(f(x)=x^3-2\), \(f'(x)=3x^2\) とすると \[ f'(3)=27\equiv2\not\equiv0\pmod5. \] まず \(x=3\) は \[ 3^3-2=25 \] なので、すでに mod \(25\) の解です。 次に \(x=3+25t\) と置いて mod \(125\) で計算します。 \[ (3+25t)^3-2 \equiv 25+3\cdot 3^2\cdot25t = 25+675t \equiv 25+50t \pmod{125}. \] これが \(0\) になるには \[ 25+50t\equiv0\pmod{125} \Longleftrightarrow 1+2t\equiv0\pmod5. \] よって \(2t\equiv4\pmod5\), \(t\equiv2\pmod5\)。 したがって \[ x\equiv 3+25\cdot2=53\pmod{125}. \]
27

問題 27 局所体

\(\sqrt2\notin\mathbb Q_3\) を示せ。
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\(\mathbb F_3\) の平方は \[ 0^2=0,\quad 1^2=1,\quad 2^2=1. \] したがって \(2\) は mod \(3\) で平方ではありません。 もし \(x^2=2\) が \(\mathbb Q_3\) に解を持てば、値付けを見て \(x\) は \(3\)-進整数の単元であり、その剰余が \(\mathbb F_3\) で \(y^2=2\) を満たすはずです。 これは不可能です。
28

問題 28 局所類体論 標準

\(\mathbb Q_3(i)/\mathbb Q_3\) のノルム群を求めよ。
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\(x^2+1\) は \(\mathbb F_3\) 上既約で判別式は \(3\) で割れないので、 \[ L=\mathbb Q_3(i) \] は不分岐二次拡大です。 不分岐拡大では、ノルム写像は単数群には全射し、値付けは次数倍になります。 したがって \[ \mathbb Q_3^\times=3^\mathbb Z\times\mathbb Z_3^\times \] に対し \[ N_{L/K}(L^\times)=3^{2\mathbb Z}\times\mathbb Z_3^\times. \] 商は \[ \mathbb Q_3^\times/NL^\times\cong \mathbb Z/2\mathbb Z \] で、局所類体論の同型により \(\operatorname{Gal}(L/K)\cong C_2\) と一致します。
29

問題 29 局所体 標準

\(\mathbb Q_5(\sqrt5)/\mathbb Q_5\) が完全分岐であることを示せ。
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多項式 \[ x^2-5 \] は \(\mathbb Z_5\) 上 Eisenstein です。すなわち、定数項は \(5\) で割れるが \(25\) では割れず、最高次係数は \(5\) で割れません。 従って \(x^2-5\) は既約で、生成する拡大は完全分岐です。 次数は \(2\) なので \[ e=2,\qquad f=1. \] \(\sqrt5\) は拡大体の一様化元になります。
30

問題 30 局所体 標準

\(\mathbb Z_5^\times/(1+5\mathbb Z_5)\) と \((1+5\mathbb Z_5)/(1+25\mathbb Z_5)\) を求めよ。
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剰余写像 \[ \mathbb Z_5^\times\to\mathbb F_5^\times \] の核は \(1+5\mathbb Z_5\) です。したがって \[ \mathbb Z_5^\times/(1+5\mathbb Z_5)\cong \mathbb F_5^\times\cong C_4. \] 次に \[ 1+5a \mapsto a\bmod5 \] により \[ (1+5\mathbb Z_5)/(1+25\mathbb Z_5)\cong \mathbb F_5 \] が加法群として成り立ちます。
31

問題 31 Frobenius 標準

\(\mathbb Q(\zeta_n)\) で \(f=\operatorname{ord}_n(p)\) となる理由を説明せよ。
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\(p\nmid n\) とし、\(\mathfrak P\mid p\) を取ります。 剰余体 \(\mathcal O_L/\mathfrak P\) には \(\zeta_n\) の像が入り、その位数は \(n\) です。 Frobenius は剰余体上で \[ x\mapsto x^p \] として作用するので \[ \zeta_n\mapsto \zeta_n^p. \] この作用を \(r\) 回繰り返すと \[ \zeta_n\mapsto \zeta_n^{p^r}. \] これが恒等的になるための最小の \(r\) は \[ p^r\equiv1\pmod n \] を満たす最小の \(r\)、つまり \(\operatorname{ord}_n(p)\) です。 不分岐 Galois 拡大では Frobenius の位数が剰余次数なので \[ f=\operatorname{ord}_n(p). \]
32

問題 32 Frobenius 標準

Galois 拡大 \(L/K\) で \([L:K]=efg\) と \(|D(\mathfrak P/\mathfrak p)|=ef\) を説明せよ。
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\(\mathfrak p\) の上の素イデアルを \[ \mathfrak P_1,\dots,\mathfrak P_g \] とします。Galois 拡大では Galois 群がこれらを推移的に置換するため、分岐指数 \(e\) と剰余次数 \(f\) はすべて同じです。 ノルムまたは局所化で次数を数えると \[ [L:K]=efg. \] 分解群 \[ D(\mathfrak P/\mathfrak p)=\{\sigma\in G:\sigma\mathfrak P=\mathfrak P\} \] は \(\mathfrak P\) を固定する stabilizer です。 軌道安定化定理から \[ |G|=g\,|D(\mathfrak P/\mathfrak p)|. \] \(|G|=[L:K]=efg\) なので \[ |D(\mathfrak P/\mathfrak p)|=ef. \]
33

問題 33 idele 標準

idele class group \(C_K=\mathbb A_K^\times/K^\times\) で \(K^\times\) によって割る意味を説明せよ。
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\(\mathbb A_K^\times\) は各場所の局所乗法群 \(K_v^\times\) を同時に集めたものです。 しかし大域元 \(a\in K^\times\) はすべての場所に同時に埋め込まれるので、局所成分の族 \[ (a)_v \] を作ります。このような族は「大域的に自明な変更」とみなすべきです。 そのため \[ C_K=\mathbb A_K^\times/K^\times \] と定義します。 類体論では、この商が大域 Abel 拡大の Galois 群を支配します。 主イデアルをイデアル類群で \(1\) とみなすのと同じ思想です。
34

問題 34 導手 標準

\(\mathbb Q(i)\), \(\mathbb Q(\sqrt2)\), \(\mathbb Q(\sqrt5)\) の導手を求めよ。
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\(\mathbb Q\) の二次 Abel 拡大の導手は、対応する基本判別式の絶対値と一致します。 \[ D_{\mathbb Q(i)}=-4,\qquad D_{\mathbb Q(\sqrt2)}=8,\qquad D_{\mathbb Q(\sqrt5)}=5. \] 従って導手はそれぞれ \[ 4,\quad 8,\quad 5. \] 実際、 \[ \mathbb Q(i)\subset\mathbb Q(\zeta_4),\quad \mathbb Q(\sqrt2)\subset\mathbb Q(\zeta_8),\quad \mathbb Q(\sqrt5)\subset\mathbb Q(\zeta_5) \] です。
35

問題 35 円分体

\(\mathbb Q(\zeta_3)\mathbb Q(\zeta_4)=\mathbb Q(\zeta_{12})\) を説明せよ。
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\(\gcd(3,4)=1\) なので、原始 \(3\) 乗根と原始 \(4\) 乗根を同時に含む体は原始 \(12\) 乗根を含みます。 具体的には \[ \zeta_3\zeta_4 \] は原始 \(12\) 乗根になります。したがって \[ \mathbb Q(\zeta_3,\zeta_4)=\mathbb Q(\zeta_{12}). \] 左辺は合成体なので \[ \mathbb Q(\zeta_3)\mathbb Q(\zeta_4)=\mathbb Q(\zeta_{12}). \]
36

問題 36 円分体

\(\mathbb Q(\sqrt2)\subset\mathbb Q(\zeta_8)\) を示せ。
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\[ \zeta_8=e^{2\pi i/8}=e^{\pi i/4}=\frac{1+i}{\sqrt2}. \] すると \[ \zeta_8+\zeta_8^{-1} = 2\cos\frac{\pi}{4} = \sqrt2. \] したがって \(\sqrt2\in\mathbb Q(\zeta_8)\) であり、 \[ \mathbb Q(\sqrt2)\subset\mathbb Q(\zeta_8). \]
37

問題 37 円分体 標準

\(\Phi_7(x)\) の mod \(2\) での分解型を、位数計算から求めよ。
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\[ \Phi_7(x) \] は次数 \(6\) です。\(\mathbb Q(\zeta_7)\) で \(p=2\) の剰余次数は \[ f=\operatorname{ord}_7(2). \] \[ 2^1=2,\quad 2^2=4,\quad 2^3=8\equiv1\pmod7 \] なので \(f=3\) です。従って分解数は \[ g=6/3=2. \] よって \(\Phi_7(x)\) は \(\mathbb F_2\) 上で二つの三次既約多項式に分解します。 実際には \[ \Phi_7(x)\equiv (x^3+x+1)(x^3+x^2+1)\pmod2. \]
38

問題 38 Hilbert類体 標準

Hilbert 類体で「素イデアルが完全分解する iff その類が主類」を説明せよ。
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Hilbert 類体 \(H_K\) では Artin 同型 \[ \operatorname{Cl}_K\cong\operatorname{Gal}(H_K/K) \] が成り立ちます。不分岐素イデアル \(\mathfrak p\) の Frobenius は \([\mathfrak p]\) に対応します。 Galois 拡大で \(\mathfrak p\) が完全分解することは Frobenius が恒等元であることと同値です。 したがって \[ \mathfrak p \text{ splits completely in }H_K \Longleftrightarrow \operatorname{Frob}_{\mathfrak p}=1 \Longleftrightarrow [\mathfrak p]=1. \] つまり \(\mathfrak p\) の類が主類であることと同値です。
39

問題 39 Chebotarev 標準

奇素数 \(p\) が \(p=x^2+y^2\) と表される条件と密度を求めよ。
解答を表示
\(\mathbb Z[i]\) は UFD で、奇素数 \(p\) が \[ p=x^2+y^2 \] と表されることは、\(p\) が \(\mathbb Q(i)\) で分解することと同値です。 分解条件は \[ p\equiv1\pmod4. \] したがって条件は \(p\equiv1\pmod4\) です。 \(\mathbb Q(i)/\mathbb Q\) は次数 \(2\) の Galois 拡大なので、Chebotarev により完全分解する素数の密度は \[ \frac12. \]
40

問題 40 類群 標準

\(3\) は \(\mathbb Q(\sqrt{-5})\) で分解するが、\(3=x^2+5y^2\) と表せない。この差を説明せよ。
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\[ x^2+5\equiv x^2-1=(x-1)(x+1)\pmod3 \] なので \(3\) は \(\mathbb Q(\sqrt{-5})\) で分解します: \[ 3\mathcal O_K=(3,\alpha-1)(3,\alpha+1). \] しかし \(3=x^2+5y^2\) と表すことは、ノルム \(3\) の元が存在すること、つまり上の素イデアルの一つが主イデアルであることを意味します。 実際には \[ x^2+5y^2=3 \] に整数解はありません。 したがって分解はするが、分解した素イデアルは非主です。 この差が類群の非自明性です。
41

問題 41 Galois 標準

\(\mathbb Q(\zeta_5)\) の複素共役と固定体を求めよ。
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複素共役は \[ \zeta_5\mapsto \overline{\zeta_5}=\zeta_5^{-1}=\zeta_5^4 \] です。Galois 群 \[ (\mathbb Z/5\mathbb Z)^\times \] では \(-1\equiv4\) に対応する位数 \(2\) の元です。 固定される元として \[ \zeta_5+\zeta_5^{-1} \] があり、固定体は実部分体 \[ \mathbb Q(\zeta_5+\zeta_5^{-1}) \] です。これは次数 \(2\) の実二次体で、実際 \[ \mathbb Q(\zeta_5+\zeta_5^{-1})=\mathbb Q(\sqrt5). \]
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問題 42 Frobenius 標準

\(\mathbb Q(\zeta_7)^+\) で \(p=2\) の Frobenius の位数を求めよ。
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実部分体の Galois 群は \[ (\mathbb Z/7\mathbb Z)^\times/\{\pm1\}. \] \(2\) の類をこの商で考えます。 \[ 2^1\not\equiv\pm1\pmod7,\qquad 2^2=4\not\equiv\pm1\pmod7,\qquad 2^3=8\equiv1\pmod7. \] 従って商での位数は \(3\) です。 実三次拡大なので、Frobenius の位数 \(3\) は \(2\) が惰性であることを意味します。
43

問題 43 ray 標準

ray class group で \((a)\), \(a\equiv1\pmod{\mathfrak m}\) を自明にする理由を説明せよ。
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ray class group は、法 \(\mathfrak m\) での合同条件を入れたイデアル類群です。 通常の類群ではすべての主イデアルを自明にしますが、ray class group では \[ a\equiv1\pmod{\mathfrak m} \] を満たす主イデアルだけを自明にします。 これにより、法 \(\mathfrak m\) での剰余情報が商に残ります。 \(\mathbb Q\) の場合、この構成が \[ (\mathbb Z/n\mathbb Z)^\times \] を生み、対応する ray class field が \(\mathbb Q(\zeta_n)\) になります。
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問題 44 Artin 標準

\(\mathbb Q(\zeta_5)\) で Artin 記号の乗法性を使い、\((2)(19)\) の Artin 記号を求めよ。
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\(\mathbb Q(\zeta_5)\) では \[ \operatorname{Frob}_p:\zeta_5\mapsto\zeta_5^p. \] Artin 記号は不分岐イデアルについて乗法的です。 したがって \[ \operatorname{Frob}_{(2)(19)} = \operatorname{Frob}_2\operatorname{Frob}_{19}. \] mod \(5\) で \[ 2\cdot19\equiv 2\cdot4\equiv8\equiv3. \] 従って \[ \operatorname{Frob}_{(2)(19)}(\zeta_5)=\zeta_5^3. \]
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問題 45 総合

新しい数体 \(K=\mathbb Q(\alpha)\) が与えられたとき、素数分解から類体論まで計算する手順を列挙せよ。
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標準的な計算手順は次です。
  1. \(\alpha\) の最小多項式 \(f(x)\) を決める。
  2. \(\mathcal O_K\) を決める。少なくとも \(\mathbb Z[\alpha]\) の指数を把握する。
  3. 判別式 \(D_K\) を計算し、分岐し得る素数を列挙する。
  4. 不分岐素数 \(p\) について \(f(x)\bmod p\) を分解し、素イデアル分解を得る。
  5. Galois 拡大なら、Frobenius の位数と剰余次数を照合する。
  6. イデアル類群を計算する。二次体なら Minkowski 境界が強力。
  7. Hilbert 類体を考える場合、\(\operatorname{Cl}_K\cong\operatorname{Gal}(H_K/K)\) により、イデアル類を Frobenius として読む。
  8. 分岐を許す場合は法 \(\mathfrak m\) を決め、ray class group と ray class field を計算する。
  9. 局所条件が重要なら、各 \(K_v^\times\)、単数フィルトレーション、ノルム群を計算する。
  10. 最後に idele class group の Artin 写像で、局所データと大域拡大を統合する。
この順に進めると、抽象的な類体論の主張が具体的な合同計算と素イデアル分解に接続されます。

おすすめの復習サイクル

  1. 二次体の問題を解き、判別式・Legendre 記号・素イデアル分解を固定する。
  2. 円分体の問題を解き、\(p\bmod n\) の位数と Frobenius を結びつける。
  3. \(\mathbb Q(\sqrt{-5})\) の問題を解き、非主イデアルと Hilbert 類体を理解する。
  4. 局所体の問題を解き、Hensel・単数群・ノルム群を計算する。
  5. 最後に ray class group と idele の問題を読み、局所と大域の対応を統合する。