Exercises with Answers

グレブナー基底:演習問題と回答

単項式順序、割り算、S多項式、Buchberger 判定法、初期イデアル、消去、商環、応用までを段階的に解く問題集。回答・解説・進捗管理つき。

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学習方針

このレポートは、グレブナー基底を「読める」状態から「計算できる」状態へ移るための演習集です。問題は 37 問あり、回答と解説を折りたたみで付けています。

第1段階単項式順序、先頭項、S多項式を機械的に計算する。
第2段階標準単項式、消去、正規形を使って意味を読む。
第3段階Buchberger 判定法、非根基、飽和、計算戦略を説明する。
推奨解答を開く前に、必ず先頭単項式と lcm を紙に書く。

問題コントローラ

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演習問題とその回答

A01|単項式順序|易

\[lex \(x>y>z\) で \(x^2z\) と \(xy^2\) はどちらが大きいか。\]
未完了
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\(x^2z>xy^2\)。lex では最初に異なる \(x\) の指数を比較し、\(2>1\)。

A02|単項式順序|易

\[grlex \(x>y\) で \(x^2y\) と \(xy^2\) はどちらが大きいか。\]
未完了
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全次数はいずれも 3。次に lex で比べ、\(x\) の指数が \(2>1\) なので \(x^2y>xy^2\)。

A03|単項式順序|中

\[grevlex \(x>y>z\) で \(x^2z\) と \(xy^2\) はどちらが大きいか。\]
未完了
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\(xy^2>x^2z\)。指数差 \((2,0,1)-(1,2,0)=(1,-2,1)\) の右端非零成分は \(+1\)。grevlex では右端非零成分が負の方を大きいとするので、前者は小さい。

A04|単項式順序|易

\[lex \(x>y\) において、多項式 \(f=3x^2y-7xy^3+y^5\) の先頭項を求めよ。\]
未完了
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\(\operatorname{LT}(f)=3x^2y\)。lex では次数より先に \(x\) の指数を比較する。

A05|単項式順序|易

\[grlex \(x>y\) において、\(f=3x^2y-7xy^3+y^5\) の先頭項を求めよ。\]
未完了
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\(\operatorname{LT}(f)=y^5\)。全次数は \(3,4,5\) なので最大次数の項が先頭項。

B01|割り算・正規形|易

\[\(G=\{x-y^2,\;y^3-1\}\) で \(x\) の正規形を求めよ。\]
未完了
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\(x\equiv y^2\) なので \(\operatorname{NF}_G(x)=y^2\)。

B02|割り算・正規形|易

\[同じ \(G\) で \(xy-1\) の正規形を求めよ。\]
未完了
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\(xy-1\equiv y^3-1\equiv0\)。したがって正規形は 0。

B03|割り算・正規形|中

\[同じ \(G\) で \(x^2y-1\) の正規形を求めよ。\]
未完了
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\(x\equiv y^2\) より \(x^2y-1\equiv y^5-1\equiv y^2-1\)。正規形は \(y^2-1\)。

B04|割り算・正規形|中

\[同じ \(G\) で \(x^4+y\) の正規形を求めよ。\]
未完了
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\(x^4+y\equiv y^8+y\equiv y^2+y\) because \(y^8=y^{6}y^2\equiv y^2\)。

B05|割り算・正規形|中

\[\(G=\{x^2-y,\;y^2-1\}\) で \(x^4-y\) の正規形を求めよ。\]
未完了
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\(x^2\equiv y\) なので \(x^4\equiv y^2\equiv1\)。よって正規形は \(1-y\)。

C01|S多項式|易

\[\(f_1=x^2-y\), \(f_2=xy-1\), lex \(x>y\)。\(S(f_1,f_2)\) を求めよ。\]
未完了
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\(\operatorname{LM}(f_1)=x^2\), \(\operatorname{LM}(f_2)=xy\), lcm は \(x^2y\)。したがって \(S=yf_1-xf_2=x-y^2\)。

C02|S多項式|易

\[\(f_1=x^2-y\), \(f_2=y^2-1\) の S多項式を求めよ。\]
未完了
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lcm は \(x^2y^2\)。\(S=y^2f_1-x^2f_2=x^2-y^3\)。

C03|S多項式|中

\[\(f_1=xy-x\), \(f_2=y^2-y\), lex \(x>y\)。\(S(f_1,f_2)\) を求めよ。\]
未完了
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先頭単項式は \(xy\) と \(y^2\)、lcm は \(xy^2\)。\(S=yf_1-xf_2=(xy^2-xy)-(xy^2-xy)=0\)。

C04|S多項式|中

\[先頭単項式が互いに素な \(f,g\) について、なぜ S多項式は多くの場合 0 に簡約されるか説明せよ。\]
未完了
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積判定法の内容である。\(\gcd(\operatorname{LM}(f),\operatorname{LM}(g))=1\) なら、lcm は積であり、両方の消去が独立に行えるため、\(S(f,g)\) は \(\{f,g\}\) によって 0 に簡約される。

D01|Buchberger|中

\[\(F=\{x^2-y,xy-1\}\) が lex \(x>y\) でグレブナー基底でないことを示せ。\]
未完了
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\(S=x-y^2\)。この先頭項 \(x\) は \(x^2\) でも \(xy\) でも割れないので、\(F\) による余りは \(x-y^2\ne0\)。Buchberger 判定法よりグレブナー基底ではない。

D02|Buchberger|中

\[前問の \(F\) から簡約グレブナー基底を求めよ。\]
未完了
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\(S=x-y^2\) を追加する。\(xy-1\) を \(x-y^2\) で簡約すると \(y^3-1\)。最終的な簡約グレブナー基底は \(\{x-y^2,\;y^3-1\}\)。

D03|Buchberger|中

\[\(F=\{x^2-y,y^2-1\}\) が lex \(x>y\) でグレブナー基底であることを示せ。\]
未完了
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S多項式は \(x^2-y^3\)。\(x^2-y\) で割ると \(y-y^3\)、さらに \(y^2-1\) で割ると 0。よって唯一の S多項式が 0 に簡約される。

D04|Buchberger|難

\[Buchberger 判定法の「全ての S多項式が 0 に簡約されるならグレブナー基底」という方向の直観を述べよ。\]
未完了
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任意の \(I\) の元は生成元の組合せで表される。先頭項が期待通りに消えない最小反例があると仮定すると、その原因は 2 つの生成元の先頭項の重なりに還元できる。この局所的重なりが S多項式であり、全て 0 に簡約されるなら最小反例は作れない。

E01|初期イデアル・標準単項式|易

\[\(\operatorname{in}(I)=\langle x^2,y^3\rangle\) の標準単項式を列挙せよ。\]
未完了
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\(x^a y^b\) で \(a<2\), \(b<3\)。したがって \(\{1,y,y^2,x,xy,xy^2\}\)。

E02|初期イデアル・標準単項式|易

\[\(\operatorname{in}(I)=\langle x,y^3\rangle\) の標準単項式を列挙せよ。\]
未完了
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\(x\) を含む単項式は全て禁止。\(y^3\) 以上も禁止。よって \(\{1,y,y^2\}\)。

E03|初期イデアル・標準単項式|中

\[\(\operatorname{in}(I)=\langle x^2,xy,y^3\rangle\) の標準単項式を列挙せよ。\]
未完了
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\(x^2\) で割れるもの、\(xy\) で割れるもの、\(y^3\) で割れるものを除く。標準単項式は \(\{1,x,y,y^2\}\)。

E04|初期イデアル・標準単項式|中

\[\(\operatorname{in}(I)=\langle xy,y^2\rangle\) の標準単項式は有限個か。\]
未完了
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無限個。\(1,x,x^2,x^3,\ldots,y\) はいずれも \(xy\) や \(y^2\) で割れない。

E05|初期イデアル・標準単項式|中

\[初期イデアルが \(\langle x^2,y^3\rangle\) なら、零次元の場合の商環次元はいくつか。\]
未完了
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標準単項式の個数は \(2\times3=6\)。したがって商環次元は 6。

F01|消去|易

\[lex \(x>y\) で \(G=\{x-y^2,y^3-1\}\)。\(I\cap k[y]\) の基底を求めよ。\]
未完了
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\(G\cap k[y]=\{y^3-1\}\)。消去定理より \(I\cap k[y]=\langle y^3-1\rangle\)。

F02|消去|易

\[\(G=\{x-y,y^2-1/2\}\) から解を求めよ。\]
未完了
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\(y=\pm1/\sqrt2\)、\(x=y\)。

F03|消去|中

\[\(I=\langle x-t^2,y-t^3\rangle\subset k[t,x,y]\)、lex \(t>x>y\)。消去で得られる \(x,y\) の関係は何か。\]
未完了
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\(I\cap k[x,y]=\langle x^3-y^2\rangle\)。したがって関係は \(x^3-y^2=0\)。

F04|消去|中

\[\(I=\langle x^2+y^2-1,x-y+1\rangle\)、lex \(x>y\)。消去多項式と交点を求めよ。\]
未完了
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\(x=y-1\) を代入すると \(2y^2-2y=2y(y-1)\)。消去多項式は正規化して \(y^2-y\)。交点は \((-1,0),(0,1)\)。

F05|消去|難

\[\(I=\langle t+u-x,tu-y\rangle\subset k[t,u,x,y]\) の \(I\cap k[x,y]\) が 0 になる理由を説明せよ。\]
未完了
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任意の \((x,y)\) に対して、\(t,u\) を二次方程式 \(T^2-xT+y=0\) の 2 根として選べば \(t+u=x\), \(tu=y\)。代数閉体上では一般に解が存在するため、\(x,y\) だけの非自明な多項式関係はない。

G01|幾何・商環|易

\[\(G=\{x^2-x,y^2-y\}\) の標準単項式と解集合を求めよ。\]
未完了
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標準単項式は \(\{1,x,y,xy\}\)。解集合は \(\{0,1\}^2\)。

G02|幾何・商環|中

\[\(I=\langle x^2,y\rangle\) の解集合と商環次元を求めよ。\]
未完了
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解集合は原点のみ。標準単項式は \(\{1,x\}\) なので商環次元は 2。

G03|幾何・商環|中

\[\(I=\langle xy,y^2\rangle\) が正次元であることを標準単項式から説明せよ。\]
未完了
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\(1,x,x^2,\ldots\) が標準単項式として無限に残る。商環が無限次元なので零次元ではなく、正次元成分を持つ。

G04|幾何・商環|中

\[\(G=\{x-y^2,y^3-1\}\) の商環で「\(y\) を掛ける」作用を基底 \(\{1,y,y^2\}\) 上で説明せよ。\]
未完了
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\(1\mapsto y\), \(y\mapsto y^2\), \(y^2\mapsto y^3\equiv1\)。循環的な置換になる。

H01|応用・発展|中

\[\(I=\langle xy\rangle\) を \(x\) で飽和した \(I:x^\infty\) を求めよ。\]
未完了
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\(I:x^\infty=\langle y\rangle\)。\(xy=0\) のうち \(x=0\) 成分を取り除くと \(y=0\) が残る。

H02|応用・発展|中

\[簡約グレブナー基底が単項式順序を固定すると一意であることの意味を、生成系の非一意性と対比して述べよ。\]
未完了
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同じイデアルには無数の生成系がある。しかし体上で単項式順序を固定し、先頭係数を 1、各元の非先頭項が他の先頭単項式で割れない、という簡約条件を課すと、得られるグレブナー基底はただ 1 つになる。

H03|応用・発展|難

\[lex は消去に向くが計算が重くなりやすい。実用計算で grevlex が好まれる理由を述べよ。\]
未完了
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grevlex は全次数を強く反映し、中間式の次数・項数の爆発を lex より抑えやすい。まず grevlex で基底を求め、零次元なら FGLM などで lex 基底へ変換する戦略が有効。

H04|応用・発展|難

\[\(\operatorname{in}_<(I)\) が同じでも \(I\) が同じとは限らない例を挙げよ。\]
未完了
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lex \(x>y\) で \(I_1=\langle x+y\rangle\), \(I_2=\langle x+y^2\rangle\)。どちらも初期イデアルは \(\langle x\rangle\) だが、イデアルは異なる。

H05|応用・発展|難

\[\(G\) がグレブナー基底なら、\(f\in I\) と \(\operatorname{NF}_G(f)=0\) が同値である理由を述べよ。\]
未完了
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\(\operatorname{NF}_G(f)=0\) なら割り算の等式から \(f\) は \(G\) の組合せなので \(I\) に入る。逆に \(f\in I\) で余り \(r\ne0\) とすると、\(r\in I\) かつ \(r\) のどの項も \(\operatorname{LT}(G)\) で割れない。しかしグレブナー基底では \(I\) の非零元の先頭単項式は初期イデアルに属し、どれかの \(\operatorname{LT}(g)\) で割れるので矛盾。

解法パターン集

先頭項問題単項式順序を先に固定し、項を指数ベクトルに直して比較する。
S多項式問題\(\operatorname{lcm}(\operatorname{LM}(f),\operatorname{LM}(g))\) を先に書き、両方の先頭項を同じ単項式に揃える。
標準単項式問題初期イデアルの生成単項式で割れるものを禁止領域として塗る。
消去問題lex 順序で、消したい変数を含まない基底元だけを抜き出す。

自己採点チェックリスト