\(H^0(G,A)=A^G\) を示せ。
非斉次0共鎖は単に \(A\) の元である。0共鎖 \(a\in A\) に対し、微分は \((da)(g)=g a-a\)。したがって0コサイクル条件 \(da=0\) は、すべての \(g\in G\) について \(g a=a\) であること、すなわち \(a\in A^G\) と同値である。0次には \((-1)\)-共鎖がないため0コバウンダリは0で、\(H^0(G,A)=Z^0(G,A)=A^G\)。
1-コサイクル条件を書き下せ。
1共鎖は写像 \(f:G\to A\)。非斉次微分の公式から \((df)(g,h)=g f(h)-f(gh)+f(g)\)。よって \(df=0\) は \(f(gh)=f(g)+g f(h)\)。これは交叉準同型または導分と呼ばれる。
1-コバウンダリが \(f(g)=g a-a\) であることを示せ。
0共鎖 \(a\in A\) に対して \((da)(g)=g a-a\) である。したがって1-コバウンダリ全体は \(B^1(G,A)=\{g\mapsto g a-a\mid a\in A\}\)。これは主交叉準同型である。
作用が自明なら \(H^1(G,A)\cong\Hom(G,A)\) を示せ。
作用が自明なら1-コサイクル条件は \(f(gh)=f(g)+f(h)\) となり、これは群 \(G\) から加法群 \(A\) への準同型の条件である。また1-コバウンダリは \(g a-a=a-a=0\) だけなので、商を取っても何も潰れない。よって \(H^1(G,A)=Z^1(G,A)\cong\Hom(G,A)\)。
\(|G|\) が \(A\) 上可逆なら \(H^n(G,A)=0\ (n>0)\) を示せ。
本質は平均化である。不変元関手 \((-)^G\) の完全性を示せば十分。任意の全射 \(M\twoheadrightarrow N\) と不変元 \(n\in N^G\) を取る。持ち上げ \(m\in M\) を選び、\(\bar m=|G|^{-1}\sum_{g\in G}g m\) と置く。すると \(\bar m\in M^G\) で、像は \(|G|^{-1}\sum g n=n\)。したがって \(M^G\to N^G\) は全射で、不変元関手は完全。右導来関手は高次で消える。
正規化共鎖だけで同じコホモロジーを計算できる理由を説明せよ。
標準単体的構造には退化写像があり、退化部分複体は可縮である。共鎖側では、単位元を含む引数に依存する退化共鎖がコホモロジーを持たない部分複体を作る。全複体を正規化部分複体と退化部分に分解し、退化部分が鎖ホモトピーで0に縮むため、包含は擬同型となる。したがって正規化共鎖だけで \(H^n(G,A)\) を計算できる。
\(C_n=\langle t\rangle\) の周期解像度から公式を導け。
\(\ZZ\) の \(\ZZ C_n\)-射影解像度として \(\cdots\to\ZZ G\xrightarrow{N}\ZZ G\xrightarrow{t-1}\ZZ G\xrightarrow{N}\ZZ G\xrightarrow{t-1}\ZZ G\to\ZZ\to0\) を使う。ただし \(N=1+t+\cdots+t^{n-1}\)。\(\Hom_{\ZZ G}(-,A)\) を適用すると各項は \(A\) になり、共境界は交互に \(t-1:A\to A\) と \(N:A\to A\)。よって \(H^{2i}=A^{C_n}/N(A)\)、\(H^{2i+1}=\Ker N/(t-1)A\)。ただし \(H^0=A^{C_n}\)。
\(H^*(C_n,\ZZ)\) を計算せよ。
\(\ZZ\) は自明作用なので \(t-1=0\)、\(N=n\)。したがって \(H^0=\ZZ\)。奇数次では \(\Ker(n:\ZZ\to\ZZ)/0=0\)。偶数正次数では \(\ZZ/n\ZZ\)。よって \(H^{2i}(C_n,\ZZ)\cong\ZZ/n\ZZ\ (i\ge1)\)、\(H^{2i+1}=0\)。
\(H^*(C_n,\ZZ/m\ZZ)\) を自明作用で計算せよ。
\(d\) は交互に0と \(n\) 倍写像。 \(\ZZ/m\ZZ\) の \(n\)-torsion は \(\gcd(n,m)\) 個あり、\(n\) 倍写像の像の余核も \(\gcd(n,m)\) 個の巡回群である。したがって奇数次も偶数正次数も \(\ZZ/\gcd(n,m)\ZZ\)。0次は \(\ZZ/m\ZZ\)。
\(C_2\) が \(\ZZ\) に符号作用するとき \(H^q(C_2,\ZZ)\) を求めよ。
生成元を \(s\) とする。\(s-1=-2\)、\(N=1+s=0\)。不変元は \(a=-a\) を満たす整数、すなわち0。よって \(H^0=0\)。偶数正次数は \(A^{C_2}/N(A)=0/0=0\)。奇数次は \(\Ker N/(s-1)A=\ZZ/2\ZZ\)。
2-コサイクルから群拡大を作り、結合法則がコサイクル条件であることを確認せよ。
集合 \(E=A\times G\) に \((a,g)(b,h)=(a+g b+\alpha(g,h),gh)\) と定める。左から結合すると \(((a,g)(b,h))(c,k)=(a+g b+\alpha(g,h)+gh c+\alpha(gh,k),ghk)\)。右から結合すると \((a,g)((b,h)(c,k))=(a+g b+gh c+g\alpha(h,k)+\alpha(g,hk),ghk)\)。等しいことは \(g\alpha(h,k)-\alpha(gh,k)+\alpha(g,hk)-\alpha(g,h)=0\) と同値で、これは \(d\alpha=0\)。
切断を取り替えると2-コサイクルが2-コバウンダリだけ変わることを示せ。
切断 \(s(g)\) に対し \(s(g)s(h)=\alpha(g,h)s(gh)\) と書く。別の切断を \(s'(g)=\beta(g)s(g)\) と置くと、\(s'(g)s'(h)\) の係数部分は \(\beta(g)+g\beta(h)+\alpha(g,h)\)。一方で \(s'(gh)=\beta(gh)s(gh)\) なので、新しい因子集合は \(\alpha'(g,h)=\alpha(g,h)+\beta(g)+g\beta(h)-\beta(gh)=\alpha+d\beta\)。したがって同じ拡大は同じ \(H^2\)-類を与える。
\(H^2(C_2,C_2)\) が \(C_2\times C_2\) と \(C_4\) を区別することを説明せよ。
自明作用で \(H^2(C_2,C_2)\cong C_2/2C_2\cong C_2\)。0類は分裂拡大で、\(C_2\times C_2\) を与える。非0類では生成元の持ち上げ \(\tilde s\) が \(\tilde s^2\) として核の非自明元を持つため、\(\tilde s\) は位数4になり、全体は \(C_4\)。
\((C_p)^2\) の中心拡大としてHeisenberg群を2-コサイクルで記述せよ。
\(V=\FF_p^2\), \(A=\FF_p\) とし、\(\alpha((x,y),(x',y'))=x y'\) と置く。集合 \(A\times V\) に \((z,x,y)(z',x',y')=(z+z'+xy',x+x',y+y')\) と積を入れると、これは上三角行列 \(\begin{pmatrix}1&x&z\\0&1&y\\0&0&1\end{pmatrix}\) の積と一致する。交換子は \((xy'-x'y,0,0)\) で、交代形式が非可換性を測る。
有限群 \(G\) に対し \(H^2(G,\ZZ)\cong\Hom(G,\QQ/\ZZ)\) を示せ。
短完全列 \(0\to\ZZ\to\QQ\to\QQ/\ZZ\to0\) を使う。\(\QQ\) は \(|G|\) で割れるため \(H^n(G,\QQ)=0\ (n>0)\)。長完全列の一部は \(0=H^1(G,\QQ)\to H^1(G,\QQ/\ZZ)\to H^2(G,\ZZ)\to H^2(G,\QQ)=0\)。よって \(H^2(G,\ZZ)\cong H^1(G,\QQ/\ZZ)\)。作用は自明なので右辺は \(\Hom(G,\QQ/\ZZ)\)。
\(S_3\) の \(H^2(S_3,\ZZ)\) を計算せよ。
前問より \(H^2(S_3,\ZZ)\cong\Hom((S_3)_{ab},\QQ/\ZZ)\)。\(S_3\) のアーベル化は符号準同型により \(C_2\)。したがって \(H^2(S_3,\ZZ)\cong\Hom(C_2,\QQ/\ZZ)\cong C_2\)。
\(S_3\) の \(\FF_2\)-コホモロジーをLHSで求めよ。
短完全列 \(1\to C_3\to S_3\to C_2\to1\) を使う。\(\operatorname{char}\FF_2=2\) は \(|C_3|=3\) を割らないので \(H^q(C_3,\FF_2)=0\ (q>0)\)、\(H^0(C_3,\FF_2)=\FF_2\)。したがってLHSの \(q=0\) 行だけが残り、\(E_2^{p,0}=H^p(C_2,\FF_2)\)。よって \(H^*(S_3,\FF_2)\cong H^*(C_2,\FF_2)\cong\FF_2[x]\), \(\deg x=1\)。
\(S_3\) の \(\FF_3\)-コホモロジーの環を求めよ。
同じ短完全列を使う。\(H^*(C_3,\FF_3)=\FF_3[u]\otimes\Lambda(v)\), \(\deg v=1\), \(\deg u=2\)。商 \(C_2\) は \(C_3\) に反転で作用するため、\(v\mapsto -v\)、Bocksteinとの可換性から \(u\mapsto -u\)。\(|C_2|=2\) は \(\FF_3\) で可逆なので高次の \(C_2\)-コホモロジーは消え、不変部分だけが残る。不変単項式は \((-1)^{a+b}=1\) を満たす \(u^a v^b\)。これは \(u^2\) と \(uv\) で生成され、\((uv)^2=0\)。よって \(H^*(S_3,\FF_3)\cong\FF_3[u^2]\otimes\Lambda(uv)\)。
\(H^*((C_p)^r,\FF_p)\) を述べよ。
Künneth公式により \((C_p)^r\) のコホモロジーは \(C_p\) のコホモロジーのテンソル積になる。\(p\) 奇数なら \(H^*(C_p,\FF_p)=\FF_p[u]\otimes\Lambda(v)\) なので、\(H^*((C_p)^r,\FF_p)=\FF_p[u_1,\ldots,u_r]\otimes\Lambda(v_1,\ldots,v_r)\)。\(p=2\) では各因子が \(\FF_2[x_i]\) で、全体は \(\FF_2[x_1,\ldots,x_r]\)。
Shapiro補題を使い、\(A=\Map(G,M)\) の高次コホモロジーを求めよ。
\(A=\Map(G,M)\) は自明部分群からの余誘導加群 \(\Coind_1^G M\) と見なせる。Shapiro補題より \(H^n(G,A)\cong H^n(1,M)\)。自明群の高次コホモロジーは0なので、\(n>0\) で \(H^n(G,A)=0\)。また0次は \(M\)。
\(\cor_H^G\circ\res_H^G=[G:H]\) の帰結を述べよ。
この恒等式から、\(x\in H^n(G,A)\) が \(\res_H^G(x)=0\) なら \([G:H]x=0\)。特に \(P\) が \(p\)-Sylow部分群なら \([G:P]\) は \(p\) と互いに素である。したがって \(p\)-primary torsion の元は、\(P\) への制限で0になれば元々0である。つまり \(p\)-一次成分はSylow部分群への制限で検出できる。
非斉次共鎖のカップ積公式を書き、次数を確認せよ。
係数にペアリング \(A\otimes B\to C\) があるとする。\(f\in C^p(G,A)\), \(g\in C^q(G,B)\) に対し、\((f\smile g)(g_1,\ldots,g_{p+q})=f(g_1,\ldots,g_p)\cdot g_1\cdots g_p\,g(g_{p+1},\ldots,g_{p+q})\)。これは \(p+q\) 個の群元を入力に取るので次数は \(p+q\)。
カップ積がコホモロジーに降りる理由を説明せよ。
微分はLeibniz則 \(d(f\smile g)=df\smile g+(-1)^p f\smile dg\) を満たす。したがって \(df=0\) かつ \(dg=0\) なら \(d(f\smile g)=0\) で、コサイクル同士のカップ積はコサイクル。さらに \(f\) を \(f+d h\) に替えると差は \(d(h\smile g)\) とコサイクル条件から来る項になり、コバウンダリだけ変わる。よってコホモロジー類の積が定義される。
短完全列 \(0\to\FF_p\to\ZZ/p^2\ZZ\to\FF_p\to0\) のBocksteinを説明せよ。
短完全列から長完全列が生じ、接続準同型 \(\beta:H^n(G,\FF_p)\to H^{n+1}(G,\FF_p)\) が得られる。共鎖レベルでは、\(\FF_p\)-値コサイクルを \(\ZZ/p^2\ZZ\)-値共鎖に持ち上げ、その微分を取る。元の共鎖は mod \(p\) でコサイクルなので微分は \(p\) 倍に入る。\(p\) で割って \(\FF_p\) に戻したものがBocksteinである。\(C_p\) では次数1生成元のBocksteinが次数2生成元になる。
巡回群のTateコホモロジー \(\widehat H^0\), \(\widehat H^{-1}\) を書け。
\(C_n=\langle t\rangle\), \(N=1+t+\cdots+t^{n-1}\) とする。Tateコホモロジーでは \(\widehat H^0(C_n,A)=A^{C_n}/N(A)\)、\(\widehat H^{-1}(C_n,A)=\Ker N/(t-1)A\)。周期性により偶数次数と奇数次数で同じ形が繰り返される。
射影 \(\ZZ G\)-加群 \(P\) について \(H^n(G,P)=0\ (n>0)\) を示せ。
射影 \(\ZZ G\)-加群 \(P\) は自由加群 \((\ZZ G)^{(I)}\) の直和因子である。有限群では \(\ZZ G\cong\Map(G,\ZZ)\) は自明部分群からの余誘導加群と見なせるため、Shapiro補題により \(H^n(G,\ZZ G)=H^n(1,\ZZ)=0\ (n>0)\)。直和と直和因子に対してコホモロジーは分解するので、\(P\) についても高次コホモロジーは0である。
\(H^2(G,A)\) が常に中心拡大を分類するわけではない理由を述べよ。
\(H^2(G,A)\) は、指定された \(G\)-作用を持つアーベル群 \(A\) による拡大、すなわち \(0\to A\to E\to G\to1\) で共役作用が指定作用と一致するものを分類する。中心拡大になるのは作用が自明な場合である。作用が非自明なら \(A\) は一般に \(E\) の中心には入らず、正規アーベル部分群として入る。
インフレーション-制限完全列を書け。
短完全列 \(1\to N\to G\to Q\to1\) と \(G\)-加群 \(A\) に対し、LHSスペクトル系列の低次から \(0\to H^1(Q,A^N)\xrightarrow{\inf}H^1(G,A)\xrightarrow{\res}H^1(N,A)^Q\xrightarrow{d_2}H^2(Q,A^N)\xrightarrow{\inf}H^2(G,A)\) が得られる。条件によってはさらに \(H^2(N,A)^Q\) への制限まで続く。
\(1\to C_3\to S_3\to C_2\to1\) を用いて \(H^2(S_3,\ZZ)\) をLHSで検算せよ。
\(H^q(C_3,\ZZ)\) は \(q=0\) で \(\ZZ\)、偶数正次数で \(\ZZ/3\ZZ\)、奇数で0。商 \(C_2\) は \(H^2(C_3,\ZZ)\) に反転で作用するので、その不変部分は0。全次数2に寄与するのは \(E_2^{2,0}=H^2(C_2,\ZZ)=\ZZ/2\ZZ\) と \(E_2^{0,2}=0\)。したがって \(H^2(S_3,\ZZ)\cong\ZZ/2\ZZ\)。
有限群コホモロジー計算で最初に確認すべき5項目を挙げ、その理由を述べよ。
(1) 係数上で \(|G|\) が可逆か。可逆なら高次は消える。(2) 作用は自明か非自明か。\(H^0\), \(H^1\), 巡回群公式が変わる。(3) 巡回・Sylow・正規部分群があるか。周期解像度、制限、LHSが使える。(4) 係数が誘導・余誘導か。Shapiroで簡約できる。(5) 低次元なら分類問題で解釈できるか。\(H^1\) は交叉準同型、\(H^2\) は拡大、\(H^3\) は障害・Schur multiplier と照合できる。
非斉次共鎖では \(C^n(G,A)=\Map(G^n,A)\)。
ただし \(1\to N\to G\to Q\to1\)。
| 到達度 | 目安 |
|---|---|
| 基礎到達 | 問題P01〜P10を、解答を見ずに式変形まで再現できる。 |
| 計算到達 | P11〜P21を解き、巡回群・\(S_3\)・Shapiro・Sylow制限の使い分けができる。 |
| 構造到達 | P22〜P30を解き、カップ積、Bockstein、LHS、拡大分類を同じ言葉で説明できる。 |
作成物: finite_group_cohomology_exercises.html