Cohen–Macaulay環
演習問題と解答

定義、正則列、具体的な商環、Auslander–Buchsbaum、局所コホモロジー、Serre 条件、Stanley–Reisner 環までを、解答付きで反復するための演習集です。

1. 使い方

まず問題だけを読み、紙やメモ欄で解いてから「解答を表示」を開いてください。完了チェックはブラウザの localStorage に保存されます。

\[ R\text{ is Cohen--Macaulay} \quad\Longleftrightarrow\quad \operatorname{depth}R=\dim R. \]
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2. 演習一覧

問01 基礎 基礎

0 次元局所環は CM

問題

非零 Noether 局所環 \((R,\mathfrak m)\) が \(\dim R=0\) を満たすとする。このとき \(R\) が Cohen–Macaulay であることを示せ。

解答を表示
\(\dim R=0\) である。非零局所環の深さは常に \(0\) 以上であり、一般に \(\operatorname{depth}R\le \dim R\) なので \(\operatorname{depth}R=0\)。したがって \(\operatorname{depth}R=\dim R=0\) であり、\(R\) は CM である。Artin 局所環はこの例である。
問02 基礎 基礎

正則局所環は CM

問題

正則局所環 \((R,\mathfrak m)\) が \(\dim R=d\) であるとする。\(R\) が CM であることを説明せよ。

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正則局所環では、極大イデアル \(\mathfrak m\) は \(d\) 個の元からなる正則パラメータ系 \(x_1,\dots,x_d\) で生成される。これは \(R\)-正則列であるため、\(\operatorname{depth}R\ge d\)。一方、常に \(\operatorname{depth}R\le\dim R=d\) なので、\(\operatorname{depth}R=d\)。よって CM である。
問03 基礎 基礎

深さと次元の不等式

問題

有限生成加群 \(M\neq0\) について、なぜ \(\operatorname{depth}M\le \dim M\) が CM 判定の前提になるのか説明せよ。

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深さは極大イデアルの中の \(M\)-正則列の最大長である。正則元で割るたびに台の次元は少なくとも 1 下がる。したがって長さ \(r\) の正則列が存在すれば \(\dim M\ge r\) でなければならない。よって \(\operatorname{depth}M\le\dim M\)。CM 性はこの上限に深さが達することを意味する。
問04 基礎 正則列

超曲面は CM

問題

\((S,\mathfrak n)\) を CM 局所環、\(f\in\mathfrak n\) を \(S\)-非零因子とする。\(R=S/(f)\) が CM であることを示せ。

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\(f\) が非零因子なので \(\operatorname{depth}R=\operatorname{depth}S-1\)。また \(f\) が非零因子で非単元なら \(\dim R=\dim S-1\)。\(S\) は CM だから \(\operatorname{depth}S=\dim S\)。よって \(\operatorname{depth}R=\dim S-1=\dim R\)。したがって \(R\) は CM である。
問05 基礎 正則列

完全交叉は CM

問題

\((S,\mathfrak n)\) を CM 局所環、\(f_1,\dots,f_c\) を \(S\)-正則列とする。\(S/(f_1,\dots,f_c)\) が CM であることを示せ。

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正則列で順に割ると、各ステップで深さも次元も 1 ずつ下がる。したがって商 \(R=S/(f_1,\dots,f_c)\) について \(\operatorname{depth}R=\operatorname{depth}S-c\)、\(\dim R=\dim S-c\)。\(S\) が CM なので両者は等しい。よって \(R\) は CM である。
問06 基礎 計算

節点 \(xy=0\)

問題

\(R=k[[x,y]]/(xy)\) は CM か。次元と深さを求めよ。

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\(k[[x,y]]\) は 2 次元正則局所環で、\(xy\neq0\) は非零因子である。したがって \(R\) は超曲面で CM。次元は \(2-1=1\)、深さも \(1\)。なお \(R\) は可約だが CM である。
問07 基礎 計算

埋込点を持つ曲線

問題

\(R=k[[x,y]]/(x^2,xy)\) は CM か。理由を述べよ。

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\(R\) の中で \(x\neq0\) だが \(x^2=xy=0\) である。したがって極大イデアル \(\mathfrak m=(x,y)\) は \(x\) を殺すので \(\mathfrak m\in\operatorname{Ass}R\)。つまり \(\operatorname{depth}R=0\)。一方、極小素イデアルは \((x)\) で、\(\dim R=1\)。よって \(\operatorname{depth}R<\dim R\) であり CM ではない。
問08 基礎 計算

非等次元な単項式商

問題

\(R=k[x,y,z]_{(x,y,z)}/(xy,xz)\) は CM か。

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\((xy,xz)=x(y,z)\) であり、極小素イデアルは \((x)\) と \((y,z)\) である。対応する成分の次元はそれぞれ \(2\) と \(1\)。局所 CM 環は等次元でなければならないので、\(R\) は CM ではない。
問09 標準 計算

\((x^2,yz)\) は完全交叉か

問題

\(S=k[[x,y,z]]\), \(R=S/(x^2,yz)\) とする。\(R\) は CM か。

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\(S\) は正則局所環で CM。まず \(x^2\) は非零因子である。次に \(S/(x^2)\) の associated prime は \((x)\) だけで、\(yz\notin(x)\) だから \(yz\) は \(S/(x^2)\) 上の非零因子である。したがって \(x^2,yz\) は正則列。よって \(R\) は完全交叉で CM。次元は \(3-2=1\)、深さは \(1\)。
問10 標準 正則列

非零因子で割る操作

問題

\((R,\mathfrak m)\) を CM 局所環、\(x\in\mathfrak m\) を \(R\)-非零因子とする。\(R/(x)\) が CM であることを示せ。

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\(x\) が非零因子なので \(\operatorname{depth}R/(x)=\operatorname{depth}R-1\)。CM 性より \(\operatorname{depth}R=\dim R\)。また非零因子で割ると次元は 1 下がるので \(\dim R/(x)=\dim R-1\)。よって \(\operatorname{depth}R/(x)=\dim R/(x)\)。
問11 標準 正則列

逆向き:商が CM なら元の環も CM

問題

\((R,\mathfrak m)\) を局所環、\(x\in\mathfrak m\) を \(R\)-非零因子とする。\(R/(x)\) が CM なら \(R\) も CM であることを示せ。

解答を表示
\(x\) が非零因子なので \(\operatorname{depth}R=\operatorname{depth}R/(x)+1\)。また \(\dim R=\dim R/(x)+1\)。\(R/(x)\) が CM なら \(\operatorname{depth}R/(x)=\dim R/(x)\)。よって \(\operatorname{depth}R=\dim R\)。
問12 標準 系パラメータ

CM 環では任意の系パラメータが正則列

問題

\((R,\mathfrak m)\) を \(d\) 次元 CM 局所環とする。任意の系パラメータ \(x_1,\dots,x_d\) が \(R\)-正則列であることを説明せよ。

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CM 局所環は埋込素を持たず、associated prime は極小素イデアルに限られる。パラメータ元 \(x_1\) は次元を下げるため極小素イデアルに含まれず、したがって非零因子である。商 \(R/(x_1)\) は CM で次元 \(d-1\)。同じ議論を帰納的に適用すると、\(x_1,\dots,x_d\) は正則列になる。
問13 基礎 系パラメータ

一つの正則な系パラメータがあれば CM

問題

\((R,\mathfrak m)\) を \(d\) 次元局所環とする。ある系パラメータ \(x_1,\dots,x_d\) が \(R\)-正則列なら \(R\) は CM であることを示せ。

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長さ \(d\) の \(R\)-正則列が存在するので \(\operatorname{depth}R\ge d\)。一方で \(\operatorname{depth}R\le\dim R=d\)。したがって \(\operatorname{depth}R=d\) で、\(R\) は CM。
問14 基礎 計算

\((xy,yz)\) の商

問題

\(R=k[x,y,z]_{(x,y,z)}/(xy,yz)\) は CM か。

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\((xy,yz)=y(x,z)\) で、極小素イデアルは \((y)\) と \((x,z)\)。それぞれの成分の次元は \(2\) と \(1\) で一致しない。局所 CM 環は等次元なので、\(R\) は CM ではない。
問15 標準 計算

三本の座標軸

問題

\(R=k[x,y,z]_{(x,y,z)}/(xy,xz,yz)\) は CM か。

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これは三本の座標軸の和集合の局所環で、1 次元被約局所環である。1 次元被約局所環では極小素イデアルの有限和集合を避ける元を極大イデアル内から選べるので、非零因子が存在する。したがって深さは 1。次元も 1 なので CM。例えば一般線形形式 \(x+y+z\) は非零因子になる。
問16 基礎 計算

\((xy,zw)\) の商

問題

\(S=k[x,y,z,w]_{(x,y,z,w)}\), \(R=S/(xy,zw)\) とする。\(R\) は CM か。

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\(xy\) は \(S\) の非零因子である。\(S/(xy)\) の associated prime は \((x)\) と \((y)\) であり、\(zw\) はどちらにも含まれない。したがって \(xy,zw\) は正則列。\(R\) は完全交叉なので CM。次元は \(4-2=2\)。
問17 標準 反例

二平面が点で交わる例

問題

\(R=k[x,y,z,w]_{(x,y,z,w)}/(xz,xw,yz,yw)\) は CM か。

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イデアルは \((x,y)\cap(z,w)\) であり、二つの 2 次元座標平面が閉点だけで交わる和集合を表す。Stanley–Reisner 複体で見ると二本の離れた辺で非連結である。Reisner 条件に反するため CM ではない。実際、次元は 2 だが深さは 1 に落ちる。
問18 基礎 ホモロジー

Auslander–Buchsbaum による判定 1

問題

\((S,\mathfrak n)\) を 5 次元正則局所環とし、\(A=S/I\) について \(\operatorname{pd}_S A=2\), \(\dim A=3\) とする。\(A\) は CM か。

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Auslander–Buchsbaum 公式より \(\operatorname{depth}A=\operatorname{depth}S-\operatorname{pd}_S A=5-2=3\)。これは \(\dim A=3\) と一致する。したがって \(A\) は CM。
問19 基礎 ホモロジー

Auslander–Buchsbaum による判定 2

問題

\((S,\mathfrak n)\) を 5 次元正則局所環とし、\(A=S/I\), \(\operatorname{ht}I=2\), \(\operatorname{pd}_S A=3\) とする。\(A\) は CM か。

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\(\dim A=5-\operatorname{ht}I=3\)。一方、Auslander–Buchsbaum より \(\operatorname{depth}A=5-3=2\)。深さが次元 3 に届かないので \(A\) は CM ではない。
問20 標準 ホモロジー

完全イデアルの判定

問題

\((S,\mathfrak n)\) を正則局所環、\(A=S/I\) とする。有限射影次元を仮定して、\(A\) が CM であることと \(\operatorname{pd}_S A=\operatorname{ht}I\) が同値であることを示せ。

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\(\operatorname{depth}A=\dim S-\operatorname{pd}_S A\)、\(\dim A=\dim S-\operatorname{ht}I\)。したがって \(\operatorname{depth}A=\dim A\) は \(\dim S-\operatorname{pd}_S A=\dim S-\operatorname{ht}I\) と同値であり、これは \(\operatorname{pd}_S A=\operatorname{ht}I\) と同値である。
問21 標準 行列式

2×3 行列の 2 次小行列

問題

\(S=k[a,b,c,d,e,f]\), \(I=I_2\begin{pmatrix}a&b&c\\d&e&f\end{pmatrix}\) とする。\(S/I\) の次元と CM 性を述べよ。

解答を表示
generic \(2\times3\) 行列の 2 次小行列イデアルの高さは \((2-2+1)(3-2+1)=2\)。したがって \(\dim S/I=6-2=4\)。Eagon–Northcott 複体によりこの商は CM である。
問22 標準 局所コホモロジー

局所コホモロジーから深さを読む

問題

\((R,\mathfrak m)\) が \(\dim R=3\) を満たし、\(H^0_\mathfrak m(R)=H^1_\mathfrak m(R)=0\), \(H^2_\mathfrak m(R)\neq0\) とする。\(R\) は CM か。

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\(\operatorname{depth}R=\inf\{i\mid H^i_\mathfrak m(R)\neq0\}\) なので、この条件では \(\operatorname{depth}R=2\)。次元は 3 であり、深さが次元に届かない。したがって \(R\) は CM ではない。
問23 基礎 局所コホモロジー

局所コホモロジーによる CM 判定

問題

\((R,\mathfrak m)\) が \(\dim R=d\) の局所環である。局所コホモロジーを使って CM 性を言い換えよ。

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\(\operatorname{depth}R=\inf\{i\mid H^i_\mathfrak m(R)\neq0\}\)、\(\dim R=\sup\{i\mid H^i_\mathfrak m(R)\neq0\}\)。したがって \(R\) が CM であることは、 \[ H^i_\mathfrak m(R)=0\quad(0\le i
問24 標準 Serre条件

CM と Serre 条件

問題

Noether 環 \(R\) が CM なら、任意の \(k\) について Serre 条件 \(S_k\) を満たすことを示せ。

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CM なら任意の素イデアル \(\mathfrak p\) で \(\operatorname{depth}R_\mathfrak p=\dim R_\mathfrak p\)。したがって任意の \(k\) について \(\operatorname{depth}R_\mathfrak p=\dim R_\mathfrak p\ge\min(k,\dim R_\mathfrak p)\)。これは \(S_k\) の定義である。
問25 標準 Serre条件

2 次元正規局所環

問題

2 次元 Noether 正規局所環は CM であることを説明せよ。

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Noether 正規環は Serre 条件 \(R_1\) と \(S_2\) を満たす。局所環の次元が 2 のとき、極大イデアルでの \(S_2\) は \(\operatorname{depth}R\ge\min(2,2)=2\) を意味する。一方 \(\operatorname{depth}R\le\dim R=2\)。よって \(\operatorname{depth}R=2\) で CM。
問26 発展 Serre条件

正規 3 次元環は必ず CM か

問題

3 次元 Noether 正規局所環は必ず CM か。Serre 条件の観点から答えよ。

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必ずしも CM ではない。正規性は \(S_2\) を与えるので \(\operatorname{depth}R\ge2\) までは保証される。しかし 3 次元で CM であるには \(\operatorname{depth}R=3\) が必要である。深さが 2 で止まる正規 3 次元特異点が存在するため、正規性だけでは不十分である。
問27 基礎 Stanley-Reisner

道グラフの Stanley–Reisner 環

問題

\(\Delta\) を頂点 \(1,2,3\)、辺 \(\{1,2\},\{2,3\}\) を持つ道グラフとする。\(k[\Delta]\) は CM か。

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1 次元単体複体として \(\Delta\) は純で連結である。1 次元複体では、純かつ連結であることが CM 性の判定になる。したがって \(k[\Delta]\cong k[x_1,x_2,x_3]/(x_1x_3)\) は CM。
問28 基礎 Stanley-Reisner

二本の離れた辺

問題

\(\Delta\) が辺 \(\{1,2\}\) と \(\{3,4\}\) の非連結和であるとする。\(k[\Delta]\) は CM か。

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\(\Delta\) は純 1 次元だが非連結である。Reisner 条件では \(\widetilde H_0(\Delta;k)=0\) が必要だが、非連結なので \(\widetilde H_0\neq0\)。よって \(k[\Delta]\) は CM ではない。
問29 標準 Stanley-Reisner

五角形 \(C_5\)

問題

五角形グラフ \(C_5\) を 1 次元単体複体と見る。\(k[C_5]\) は CM か。また完全交叉か。

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\(C_5\) は純 1 次元かつ連結なので \(k[C_5]\) は CM。非辺は 5 本あり、Stanley–Reisner イデアルは 5 個の平方自由単項式で生成される。一方、\(\dim k[C_5]=2\)、変数は 5 個なので高さは 3。完全交叉なら高さと最小生成元数が一致する必要があるが、5 個生成なので完全交叉ではない。
問30 発展 Stanley-Reisner

\(\mathbb{RP}^2\) の標数依存

問題

\(\Delta\) を実射影平面 \(\mathbb{RP}^2\) の三角形分割とする。\(k[\Delta]\) の CM 性は係数体 \(k\) に依存するか。

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依存する。Reisner 条件では \(\widetilde H_i(\Delta;k)=0\) が \(i<2\) で必要である。\(\mathbb{RP}^2\) では \(H_1(\mathbb{RP}^2;k)\) が \(\operatorname{char}k=2\) のとき非零、\(\operatorname{char}k\ne2\) のとき零になる。リンクは局所的に球面なので問題は全体の \(H_1\) に現れる。したがって標数 2 では CM でなく、標数が 2 でなければ CM になる。
問31 標準 Hilbert級数

超曲面 \(xy\) の Hilbert 級数

問題

標準次数付き環 \(R=k[x,y,z]/(xy)\) の Hilbert 級数を求めよ。

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\(xy\) は次数 2 の非零因子なので、 \[ H_R(t)=\frac{1-t^2}{(1-t)^3}=\frac{1+t}{(1-t)^2}. \] 分母の指数 2 は \(\dim R=2\) を表し、分子 \(1+t\) は Artinian reduction の Hilbert 級数に対応する。
問32 標準 Hilbert級数

線形系パラメータを確認する

問題

\(R=k[x,y,z]/(xy)\) で、\(z, x+y\) が正則列であることを確認せよ。

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まず \(z\) は \(xy\) と独立な変数であり、\(R\) 上の非零因子である。\(R/(z)\cong k[x,y]/(xy)\)。この環の associated prime は \((x)\) と \((y)\) であり、\(x+y\) はどちらにも含まれない。したがって \(x+y\) は非零因子。よって \(z,x+y\) は正則列である。
問33 基礎 反例

CM だが整域でない例

問題

CM だが整域でない環の例を一つ挙げ、理由を述べよ。

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例として \(R=k[[x,y]]/(xy)\) がある。これは \(x\cdot y=0\) なので整域ではない。しかし正則局所環 \(k[[x,y]]\) を非零因子 \(xy\) で割った超曲面なので CM である。
問34 基礎 反例

CM だが非被約な例

問題

CM だが非被約な環の例を一つ挙げ、理由を述べよ。

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例として \(R=k[[x,y]]/(x^2)\) がある。\(x\) は冪零元を与えるので非被約である。一方、\(x^2\) は正則局所環 \(k[[x,y]]\) の非零因子なので、商は超曲面で CM である。
問35 標準 反例

被約だが CM でない例

問題

被約だが CM でない環の例を一つ挙げ、理由を述べよ。

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例として \(R=k[x,y,z,w]_{(x,y,z,w)}/(xz,xw,yz,yw)\) がある。これは平方自由単項式イデアルの商なので被約である。しかし対応する複体は二本の離れた辺で非連結、また幾何的には二つの平面が点でだけ交わるため、深さが次元 2 に届かない。よって CM ではない。
問36 標準 Gorenstein

CM だが Gorenstein でない Artin 環

問題

\(R=k[x,y]/(x,y)^2\) は CM か。Gorenstein か。

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\(R\) は 0 次元 Artin 局所環なので CM である。Gorenstein 性は Artin 局所環では socle \(\operatorname{Soc}R=(0:\mathfrak m)\) が 1 次元であることと同値。この環では \(\mathfrak m=(x,y)\), \(\mathfrak m^2=0\) なので \(\operatorname{Soc}R=\mathfrak m\) は \(k\)-次元 2。したがって Gorenstein ではない。
問37 基礎 Gorenstein

特異でも Gorenstein/CM

問題

\(R=k[[x,y]]/(y^2-x^3)\) は正則か。CM か。

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この環は尖点特異点を持つので正則ではない。しかし \(k[[x,y]]\) の非零因子 \(y^2-x^3\) で割った超曲面である。超曲面は Gorenstein であり、特に CM である。
問38 基礎 基礎

CM は正則を意味するか

問題

CM 局所環は必ず正則局所環か。反例を挙げよ。

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必ずしも正則ではない。例えば \(k[[x,y]]/(xy)\) や \(k[[x,y]]/(y^2-x^3)\) は超曲面なので CM だが、特異点を持つため正則局所環ではない。含意は「正則 \(\Rightarrow\) CM」であり、逆は偽である。
問39 標準 安定性

完備化と CM 性

問題

Noether 局所環 \((R,\mathfrak m)\) について、\(R\) が CM であることと \(\widehat R\) が CM であることが同値である理由を述べよ。

解答を表示
\(\mathfrak m\)-進完備化 \(R\to\widehat R\) は忠実平坦である。Noether 局所環では完備化により次元は保たれ、深さも保たれる。したがって \(\operatorname{depth}R=\dim R\) と \(\operatorname{depth}\widehat R=\dim \widehat R\) は同値である。
問40 標準 非局所

有限直積の CM 性

問題

非局所環の定義を「すべての素イデアルで局所化して CM」とする。\(R=R_1\times R_2\) が CM であることと、\(R_1,R_2\) が CM であることは同値か。

解答を表示
同値である。\(R_1\times R_2\) の素イデアルは \(R_1\) の素イデアルから来るものと \(R_2\) の素イデアルから来るものに分かれ、局所化は対応する成分の局所化になる。したがって全局所化が CM であることは、各 \(R_i\) の全局所化が CM であることと同じである。
問41 標準 一次元

1 次元被約局所環は CM

問題

\((R,\mathfrak m)\) を 1 次元 Noether 被約局所環とする。\(R\) が CM であることを示せ。

解答を表示
被約 Noether 環の associated prime は極小素イデアルである。1 次元局所環では \(\mathfrak m\) は極小素イデアルではない。素イデアル回避により、\(\mathfrak m\) の中に全ての極小素イデアルを避ける元 \(x\) を選べる。この \(x\) は非零因子である。よって深さは少なくとも 1、次元は 1 なので CM。
問42 基礎 一次元

\((x,y)^2\) で割った一次元環

問題

\(S=k[x,y,z]_{(x,y,z)}\), \(R=S/(x^2,xy,y^2)\) とする。\(R\) は CM か。

解答を表示
イデアルは \((x,y)\)-primary であり、\(\dim R=1\)。変数 \(z\) はこのイデアルの associated prime \((x,y)\) に含まれず、\(R\) 上の非零因子である。したがって \(\operatorname{depth}R\ge1\)。次元が 1 なので \(\operatorname{depth}R=1\)、よって CM。非被約でも CM である。
問43 標準 局所化

CM 性は局所化で保たれる

問題

\(R\) が CM 環なら、任意の素イデアル \(\mathfrak p\) について \(R_\mathfrak p\) も CM であることを説明せよ。

解答を表示
非局所環の CM 性を、全ての素イデアルでの局所化が CM であることとして定義するなら、これは定義から従う。局所環から出発する場合も、正則列や深さの局所化の性質により、CM 性はさらに局所化して保たれる。
問44 発展 局所化

極大イデアルだけ見れば十分か

問題

Noether 環 \(R\) について、全ての極大イデアル \(\mathfrak m\) で \(R_\mathfrak m\) が CM なら、\(R\) は CM か。

解答を表示
はい。任意の素イデアル \(\mathfrak p\) はある極大イデアル \(\mathfrak m\) に含まれる。すると \(R_\mathfrak p\) は \(R_\mathfrak m\) のさらなる局所化である。CM 性は局所化で保たれるため、\(R_\mathfrak p\) も CM。したがって全ての素イデアルで CM となり、\(R\) は CM。
問45 発展 総合

判定法の選択

問題

商環 \(A=S/I\) の CM 性を調べるとき、正則列、自由分解、局所コホモロジー、Stanley–Reisner 判定をどう使い分けるか、短く整理せよ。

解答を表示
\(I\) が明らかに正則列で生成されるなら完全交叉として判定する。\(S\) が正則環で自由分解が分かるなら Auslander–Buchsbaum により \(\operatorname{pd}_S A=\operatorname{ht}I\) を確認する。深さの欠損を検出したい場合は \(H^i_\mathfrak m(A)\) の低次数非消滅を見る。\(I\) が平方自由単項式イデアルなら Stanley–Reisner 環として Reisner 条件、すなわち複体とリンクの被約ホモロジーを見るのが自然である。

3. ランダム演習

ランダム問題

解くときのチェックリスト

  1. 環は局所か、次数付きか、非局所か。
  2. 次元は高さ・成分・Stanley–Reisner 複体から求まるか。
  3. 深さは正則列、associated prime、自由分解、局所コホモロジーのどれで読むか。
  4. 標準定理、例えば「完全交叉は CM」を使えるか。

4. 自分用メモ

答案の下書きや間違えた理由を書けます。内容はブラウザの localStorage に保存されます。